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2014年度RFLマイ・オンコロジー・ドリーム奨励賞の発表

第5回目の奨励賞は、岩手と東京から腫瘍内科医師2名に授与。
米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターにて1年間研修
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『2014年度リレー・フォー・ライフ マイ・オンコロジー・ドリーム奨励賞』受賞式を開催


日時:2015年4月27日(月)13:00~14:00
場所:有楽町朝日スクエア会議室C(有楽町マリオン11階)
(〒100-0006 東京都千代田区有楽町2丁目5−1有楽町マリオン11階)
主催:公益財団法人日本対がん協会
協力:The University of Texas MD Anderson Cancer Center
一般社団法人オンコロジー教育推進プロジェクト


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 2015年4月27日(月)、有楽町朝日スクエア会議室C(有楽町マリオン11階)に於いて、公益財団法人日本対がん協会主催、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター、一般社団法人オンコロジー教育推進プロジェクトの協力のもと、『2014年度リレー・フォー・ライフ マイ・オンコロジー・ドリーム奨励賞』の授賞式が行われました。
 本奨励賞は、日本対がん協会が、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター(以下MDアンダーソンがんセンター)の協力を得て、日本の若手医師が同センターにおいて1年間研修する事を目的として、2010年度に設立され、今年で第5回目を迎えました。この賞は、がん患者さん、ご家族、支援者の方々が日本対がん協会とともに推進し、開催している「リレー・フォー・ライフ・ジャパン」に寄せられた寄付金を基に運営しております。そこには、多くの患者さん、ご家族そして一般市民の方々の"日本のがん医療の進展"につながる次世代の人材育成推進への願いが込められております。

 

リレー・フォー・ライフ・ジャパン ホームページ


日本対がん協会理事長秋山耿太郎氏の開会挨拶

 

授賞式では、日本対がん協会理事長秋山耿太郎氏の開会挨拶のあと(上の写真)、MDアンダーソンがんセンター乳腺腫瘍内科教授の上野直人氏からアワードの授与および目録贈呈が行われました(下の写真)。

 

MDアンダーソン乳腺腫瘍内科教授の上野直人氏からアワードの授与および目録贈呈

続いて、MDアンダーソンがんセンター、シニアバイスプレジデントのOliver Bogler氏(Global Academic Programs Vice President)からビデオによる祝辞が放映されました(下の写真)。

 

MDアンダーソンSenior Vice PresidentのOliver Bogler氏(Global Academic Programs VP)からビデオによる祝辞

 

2014年度の受賞者には、厳正なる審査の結果、虎の門病院臨床腫瘍科医師の三浦裕司氏と岩手医科大学呼吸器・アレルギー・膠原病内科医師の森川直人氏が選ばれました。
受賞者からは、MDアンダーソンがんセンターでの研修に対する抱負や日本の今後のがん医療への貢献などが語られました。以下、お二人の受賞にあたっての抱負を掲載いたします。

 

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RFLマイ・オンコロジー・ドリーム奨励賞に選ばれて


広島市民病院腫瘍内科 河野美保

 

虎の門病院臨床腫瘍科 三浦裕司(上の写真)。
 この度は、リレー・フォー・ライフ"マイ・オンコロジー・ドリーム"奨励賞に選考いただき、誠にありがとうございます。日本対がん協会の皆様、MDアンダーソンがんセンター、Global Academic Programの先生方、そしてリレー・フォー・ライフ・ジャパンの皆様に深く感謝申し上げたいと思います。また、本賞に応募するにあたり、海外留学に理解と協力を示してくれた妻と子ども達にも感謝したいと思います。
 今回、このような素晴らしい賞をいただき、またMDアンダーソンがんセンターという世界トップクラスの病院で研修できる機会をいただき、大変嬉しく思っていると同時に、身の引き締まる思いです。
 私は、これまでに血液腫瘍、固形腫瘍と幅広いがん種に対応する、一般腫瘍内科医としての研修、経験を積んで参りましたが、5年程前に自身のライフワークを泌尿器腫瘍、特に腎がんと決め、現在、その治療、研究に力を入れております。現在、腎がんに対する非常に多くの抗がん剤が開発、承認されておりますが、日本には泌尿器腫瘍を専門とした腫瘍内科医がほとんどおりません。そのため、私は多くの泌尿器科医や泌尿器以外の腫瘍を専門とする腫瘍内科医から、様々な事を学びつつも、基本的には独学でこれまで学んで参りました。しかし、これから将来における私自身の成長、日本の患者さん達への貢献、将来この分野に進みたいと考える腫瘍内科医の教育などを考えるにあたり、今のままでは限界があり、海外に出て泌尿器腫瘍内科医のメンターのもとで学ぶ必要があると考え、今回、マイ・オンコロジー・ドリーム奨励賞に応募致しました。
 私のVisionは、「腎がんに関わるあらゆる苦悩から人々を解放する事」です。このVisionを達成するために、私は2つの事が必要だと考えております。それは、「より良い治療法の開発」と、「患者さんのより良い生活へのサポート」です。まず、治療については、innovative(革新的)な薬剤の研究、開発が必要だと考えます。近年、我が国でも、新薬早期臨床開発が行えるように、様々な試みがされておりますが、残念ながら泌尿器腫瘍の領域ではまだ進んでいないのが現状です。私は、帰国後この分野の進歩に従事できるように、MDアンダーソンがんセンターで、新薬開発に必要なtranslational research(橋渡し研究)の知識、新薬早期臨床試験の立案などについて学びたいと考えております。次に、患者さんの生活に対するサポートについてです。多くの薬剤の開発により、腎がんの生存期間は大きく延長しましたが、その長い期間における患者さんの身体的、精神的、社会的などあらゆる面における人生のサポート体制が整っているとは言いがたいと思います。今回の研修で、MDアンダーソンがんセンターでの多職種によるチーム医療の取り組み、また、患者さん自身や社会の取り組みについても学んできたいと思います。


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日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科 原野謙一

 

岩手医科大学呼吸器・アレルギー・膠原病内科 森川直人(上の写真)。
 この度は、リレー・フォー・ライフ"マイ・オンコロジー・ドリーム"奨励賞を頂き、本当にありがとうございます。ASCO(アメリカ臨床腫瘍学会)で例年、多くの魅力的な発表をしている、あこがれのMDアンダーソンがんセンターで学ぶ機会を得ることができた喜びは、なんと表現して良いかわかりません。また、「リレー・フォー・ライフ・ジャパン」によせられた、患者さん、ご家族、がん診療に期待する多くの方々からのご寄付をもとにした、この奨励賞をいただいたことは、がんに取り組む医師の一人として本当に光栄に思うとともに、身の引き締まる思いでもあります。
 私は東京都日野市の出身で静岡の浜松医大を卒業後、長く宮城県で働いておりました。最初は呼吸器内科医として、後半は肺癌を専門とする腫瘍内科医として、市中病院での診療に力の多くを注いでまいりました。ご縁があり2年前より岩手医科大学に異動し、後進の指導や研究、地域の先生からのコンサルテーションに取り組んでおります。東北は豊かな自然と心の温かい人々が沢山いる素晴らしいところですが、一方で深刻な医師不足が続いている地域でもあります。4年前におきた東日本大震災は岩手、宮城、福島に深い傷跡を残し、沿岸部を中心に医師不足にも追い打ちをかけています。とりわけ、がん化学療法を専門とする医師の不足は顕著で、東京に162名いるがん薬物療法専門医は岩手には6名しかいません。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台になった久慈市とその周辺には常勤の呼吸器科医・腫瘍内科医がおらず、肺癌の患者さんは往復4時間かけて八戸に行くか、5時間かけて盛岡に行かないと専門的な治療を受けられません。岩手の多くの地域では、患者さんたちが長時間の移動に耐えて治療を行っております。また、地域の病院でも一般呼吸器科医や外科医の努力でなんとかがん診療が維持されている状況です。
 このような環境のなかで、私は質の良いCommunity Opinion Leader(地域医療の推進者)となることを目指してきました。自らが多くの患者さんを診療し、若い先生を指導し、がん診療の魅力を語り、地域の医師から信頼・相談され、彼らと協力しながら小規模でもユニークなコンセプトの臨床試験を行って全世界に発信したいと願っています。そして東北でがん診療に取り組む医師を増やして、一人でも多くの患者さんに標準治療が届けられるよう益々取り組んで行きたいと思います。
 今回の留学研修期間中に得たMDアンダーソンでの経験を、残さず持ち帰って、東北の医師、メディカルスタッフ、そして患者さんたちと共有できるよう、精一杯努力したいと思います。
 最後に、リレー・フォー・ライフ・ジャパンにご協力いただいた皆様、対がん協会の皆様、上野先生、Dr.BoglerをはじめとするMDアンダーソンがんセンターの先生方に心より感謝し、お礼の言葉とさせていただきます。

 


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引き続き、リレー・フォー・ライフ・ジャパンを代表して堀均氏より、また、日本対がん協会会長垣添忠生氏より、受賞者への期待の言葉が語られました(下の写真)。

 

リレー・フォー・ライフ・ジャパンを代表して坂下千瑞子氏、日本対がん協会会長垣添忠生氏より、受賞者への期待の言葉

 

その後、「MOD奨励賞受賞記念ディスカッション-米国でも類を見ないユニークな賞 夢を忘れずに」と題し、上野直人氏および古川孝広氏(2011年度受賞2年間留学)そして受賞者2名とのディスカッションが行なわれました。司会は日本対がん協会マネジャーの小西宏氏が務め、この賞が候補の方のパッションを大きく評価して選定されていることと海外で臨床研究を学んで戻ってきたあとの日本での貢献度を期待している点で、米国には無い日本独自のユニークな奨励賞であることを、受賞のお二人は改めて確認いたしました(下の写真)。

 

クリニカルリサーチ(臨床研究)

 

授賞式の最後は、関係者一同による記念写真撮影で締め括られました(下の写真)。

 

関係者一同による記念写真撮影

 

写真左より、秋山耿太郎氏(日本対がん協会理事長)、受賞者:三浦裕司氏、森川直人氏、
垣添忠生氏(日本対がん協会会長)、上野直人氏(MDアンダーソンがんセンター教授)

 

授賞式後は、レセプションが行われ、終始なごやかな雰囲気の中、有意義な歓談が行われました。
下の写真は、授賞式に参列した関係者一同による記念写真 (下の写真)。

 

授賞式に参列した関係者一同による記念写真

 


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[2015/05/29 18:58] | マイ・オンコロジー・ドリーム奨励賞 | コメント(0) | トラックバック(0) | タグ: